お庭の思い出物語
私は庭師の仕事をしております。
職業柄、お客さん(おじいちゃん、おばあちゃん)とお話をする機会が多くあり、
楽しい話、苦労した話、庭に関する思い出など、皆さんひとりひとりにいい物語があります。
そこで、その物語を1000文字程度でご紹介してみたいと思います。
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第1話 Uさん
「よう来たね」
いつも温かく・・・
「野菜、持って帰りなさい」
そう言って大量の野菜が・・・
戦後を生き抜いてきたおじいちゃん
そんなおじいちゃんの印象は…
きちんと身なりを整えて
自分のペースで歩いてゆく
可愛くもあり、とてもかっこいい人だ
そんなおじいちゃんがポツリと
「あの頃は休みなんてなかった」
貧しい戦後の時代を過ごしたおじいちゃん
会社に勤め、休日には庭師の仕事と農業を行っていた
家族の為、子供を学校へ通わせるために力強く働いたのだった
農業と仕事の両立はとても大変で
朝、会社へ出掛ける前の小一時間で、草抜きや水やりをおこない
帰宅後には、日が暮れるまで収穫作業や畑を耕していた
「休日には地域の集まりや活動もたくさんあったんだよ」
戦後、みんなで力を合わせ、村や町の整備を行った
道も狭く、登り坂が多い
もちろん、アスファルトやコンクリートなどはなく、土の道だった
昔話で盛り上がっていると
嬉しそうな顔で
「自慢の庭なんだ」
と、話すおじいちゃん
定年退職をした後、たった一人で自分の家の庭を造ったのだ
来る日も来る日も…
山から大きな石を運んだり、気に入った木を見つけては一輪車や背負子を使い作業をした
規模の大きな庭をみて
その行動力と根性に私は圧倒されていた
1t以上ありそうな石
10㍍ほどありそうな木
どの様にして運んだのだろう…
枯山水のその庭は、とても綺麗に手入れが行きとどいていた
草もなく
キレイに丸く剪定されている木々
大きな段のついている木も、際刈りが丁寧に行われていた
まだまだ現役のおじいちゃんは、自分で庭を管理しているのだ
もちろん、庭全体の剪定も行い
きっちりとしたおじいちゃんの性格がでている庭になっていた
趣味で集めている盆栽も
30鉢以上も並べられている
黒松の盆栽や椿の盆栽など
山で見つけてきては、鉢に収め盆栽にしてきた
庭や盆栽、畑仕事など1つ1つに真剣に取り組む
未だに足を休めることなく、働き者のおじいちゃんの姿に
戦後を生きてきた力強さを感じた
「白菜をもって帰りんさい」
そういって畑に入り
両手いっぱい
自慢の白菜を採ってきた
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